No.14

一次創作

飛んで火にいる冬の虫
センチメンタルなノワールのおはなし。


俺は自分のことを蛾だと思う。

光るものに釣られて、それが大きな炎だと気づいていない、哀れでちっぽけな虫。



それが、ノワールが自分に下す評価だ。
街中はすっかり冬に彩られて、白い雪が街を覆い尽くしている。
歩けば雪を踏み潰す音が聞こえて、息を吐けば白いもやが目の前を通り過ぎる。

周囲を見渡せば、雪を喜ぶ子供たちが思い思いに雪を使った遊びをしていた。
見ればあちこちに雪だるまがある。しっかり作られて感心するものもあれば、不器用だが温かみを感じれるものもある。

そのまま街を歩いて行って、自分たちが泊っている宿へと辿り着く。

そこには、またひとり雪だるまを作っている男がひとり。



stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「おっ!おかえり、ノワール!」



レイニスはぱっと表情を明るくしてこちらを見る。

stkyd_03_noir 【ノワール】
「ただいま。なにしてるんだ?」

stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「なにしてるって、見りゃわかるだろ。雪だるま作ってんの!」



stkyd_03_noir 【ノワール】
「俺が聞きたいのは」

stkyd_03_noir 【ノワール】
「成人にもなってひとりでなにしてるんだってことだ」



stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「なんだと~……」
「わかんねえやつだな」



stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「年齢に縛られて遊ぶ楽しさすら忘れたら悲しいだろ!」

stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「普段ちゃんとしてるんだから」
「こういうときくらい遊んだっていいだろ?」



stkyd_03_noir 【ノワール】
「ちゃんとしてるかなあ」

stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「はぁ~!?」





こういうとき、レイニスには縛るものがなくていいなと思う。




縛ろうとしてもその場から全て叩き切って前に進んでいく。
いや、縛るものが燃えて灰になっていくのほうが正しい。

いつだって燃えているような男だ、だからなんの障害も効かないし、人々は明かりに釣られて近づいていく。
その時に気付くのだ、その明かりは炎で、容易く触れられるものではないと。




レイニスにとって、自分はふさわしくない。






stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「なんか考えてるな」

stkyd_03_noir 【ノワール】
「ん?」
「う~ん……」




stkyd_03_noir 【ノワール】
「レイニスって暖房効果があるなって……」

stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「ど、どういうこと!?」


stkyd_01_reinice_2 【レイニス】
「熱い男ってこと?俺が」




stkyd_03_noir 【ノワール】
「正解」


#砂の月を目指して

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