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スキン
何らかの配布所様
主である河本が起きたことは物音と気配で勘付いていたが、妙にばたばたと忙しなく洗面所に向かい、以降水の音だけが流れて一向に出てこない。サーナイトは不安げな表情を浮かべながら、洗面所の扉を開けた。
そこに居たのは、水を出しっぱなしにも関わらず、地面に座って蹲っている河本の姿だ。確か水を出しっぱなしにするとよくないのだ。そうわかっていたサーナイトは水を止め、直ぐ様河本の様子を伺う。
背中を擦ったり、鳴き声で語り掛けたりするが、少しの間河本は動くことはなかった。
人の心を読み取れるサーナイトにはわかる、今の河本はどうしようもなく暗い感情に苛まれている。自己嫌悪、自罰的思考、それらを振り払いたい、正当化に忙しい感情が渦巻き、心の底で叫んでいるSOSを感じ取る。
そこでようやく河本は顔を上げた。想像以上に悲痛に歪み、ぐしゃぐしゃになった表情に、サーナイトは顔を強張らせた。
「……あ、」「わ、悪い悪い!ちょっと眩暈がしただけだ、悪い、……大丈夫だ」
一目見てわかるほどの無理して浮かべた笑顔に、心が痛んだ。
ここまで傷ついた主を放っておけるほど、薄情なポケモンではないのだ。
サーナイトは河本の両手を握り、目を見つめる。大丈夫。私がいるのだから。
河本はまた表情を歪めたが、諦めたようにため息をついた。そうして、もう一度「……ごめん」と謝るのだ。
サーナイトは河本の手を引き、椅子に座らせる。そしてできる限りの暖かい朝食を用意すると、どうぞ召し上がれと目を細めた。
河本は再度ため息をつく。それはどこか、観念したようなため息だった。そしてようやく、表情を緩めて微笑む。
「おまえには敵わねーなぁ……ほんとさ」
当たり前だ。あなたと共にあるポケモンなのだから。