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落書き文
#バロック
黒猫と虫
本の虫という言葉は読書好きな人間のことを指す。しかし語源はその名の通り古い本に寄生する“虫”のことだ。本から離れない寄生虫を例えるほど熱心に本を読み耽る様を見て言われたらしいが、周囲から見ればまさにヴランは『本の虫』だった。
虫といえばバロックには人間以外生き物が少ない。隔離された都市なのもあってか、見かけるのは都市の外からやってくる鳥くらいだ。しかし、まったく存在していないわけではない。
「にゃあ」
聞き慣れない声が図書館に響き渡る。その声にヴランは目線を上げる。しばらく本から目を外して、気のせいかと思いもう一度本を見る。
「にゃあ」
再度同じ声が聞こえて、さすがに気のせいだと言い聞かせるのは無理かと本から顔を上げる。机の上に黒い毛並みの猫がいた。金色の目が輝く、バロックでは非常に珍しい生き物だ。美しい毛並みを見るに、誰かに飼われているのだろうか。
「使用者以外立ち入り禁止だぞ」
「にゃあ」
「館長にでも構ってもらえ、俺は忙しい」
「にゃあ」
一向に退く気配のない猫に、ヴランは息を吐く。
「甘えることしか知らないのか、贅沢なヤツだな」
そう言いながらそっと人差し指で猫の顎を撫でる。猫は気持ちよさそうに目を細めて喉を鳴らした。
「怒られる前に出て行けよ」
ヴランはそう言って再び本を見る。猫は「にゃあ」と言うと、机を降りてどこかへと行ってしまった。
それと行き違うように、足音がこちらへとやってくる。黒い猫とは対照的に、白い髪をした男がヴランを見る。
「さっき誰かと話してたか?」
リビデルは首を傾げる。
「不法侵入者」
「なに?」
「館長に警備員でも雇えと言っておけ」
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