雑記

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とりあえず冒頭に着手……
#セレスライトと孤独の竜

 この世界リ・ディールにとって、ドラゴンという存在は神に等しい。
 ドラゴンの存在によってこの世界は守られ、平和が保たれている。人々は皆ドラゴンを信仰し、崇めることで感謝を伝えていた。
 ドラゴンと会話を交わせる者は今は数少ない龍人族、あるいは人間の中でただ一人、選ばれし存在である適合者。適合者はドラゴンに血を与え、その身を捧げなければならない。言うなれば――世界の平和を保ち続けるための贄であった。
 15年前、ドラゴンが住まうアルバドス帝国が発見した適合者。その名はヴィラヒム。彼はドラゴンの適合者として選ばれたが、アルバドス帝国ひいてはリ・ディールの協力を真っ向から否定した。アルバドス帝国の王はそれに怒り、ヴィラヒムは刑に処された。
 適合者を失ったことにより暴走したドラゴンを鎮めるため、各地から賢者を呼び、一時的にドラゴンを眠らせることでリ・ディールは仮の平和を手にした。
 ドラゴンが目覚めるまでに、次の適合者を探さねばならない。
 そして、アルバドス帝国の敷地にある村、エトに、旅歩きの青年が訪れた。



第一章

 エトは小さな田舎村である。旅の者が通過地点にすることが多いため、旅歩きの青年が一人訪れたとて珍しがる者はいない。
「おお、旅の方か。どうぞ、ゆっくりしていってくだされ」
 村の門にいる門番は笑顔を浮かべて言った。旅歩きの青年、セレスライトも笑顔を浮かべ、軽く挨拶を済ませる。
 今日泊まる宿を探すために村を歩く。ついでに飲食を買い込み、村を回っていれば、一人の青年がセレスに声をかけた。
「旅人か」
 そう言ったのは切株に座っている褐色の男だ。美しい赤毛に思わずセレスは目を奪われる。しかし、それに見合わず左の顔には包帯が巻かれていた。獣狩りの最中に怪我でも負ったのだろうか。常に危険が付きまとうこの世界では怪我は珍しくない。むしろ狩りに出る男が生涯五体満足でいられるほうが幸運なのだ。
「ああ。あんたは村の方?」
「そうだ。嫌われてるけどな」
「そりゃなんで」
「偏屈なんだと」
「その歳でか」
「若くても頭の固いヤツはいるだろ」
 そう言われればそうか。と納得し、彼の横に座る。
「名前は?」
「セレス。セレスライトだ。あんたは?」
「ノワール」
「ノワールか。短い間だがよろしく」
「おまえは目的があって旅を?」
「旅が趣味なんだ。じっとしているほうが性に合わなくてね。動いてないと気が済まないし、色んな光景を見たい」

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