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代行屋・砂月 第1話
#代行屋・砂月
中央都市「テアトル」。巨大なビル群が立ち並び、空にはドローン型刑事アンドロイドが監視の目を光らせている。
街中を人間とアンドロイドが行き交い、今やそれを珍しいと思う者はいない。
しかし
「作業効率が低下しています」
「……」ムッ
「うるさいなあ、ちゃんとやってるよ」
「私語は許可されていません」
「……」ムム……
人工知能が発達しすぎたせいなのか、今や人間を支配しているのは人工知能のほうになっていた。
人間は人工知能が指定する仕事をこなし、それで金銭を稼ぐ。
更に人間たちの中でも、貧民層と上流階級では深い溝があった。
ここで働いている少年、アズマは貧民層に住まう子供だった。
早くに両親を亡くし、一人で生きていくために奴隷染みた仕事をこなす。
しかし、汗だくで働いても手元に残るのはわずかな金額だけ。
「(嫌だなあ、もう……。なんのために生きてるんだろう)」
「痛ッ!……おいこのガキ、今俺にぶつかっただろ!」
「うわっ!す、すみませ……」
「お前のせいで服が汚れちまったじゃねえか、どうしてくれんだ?」
アズマの目からは自分からぶつかってきたように見えたが、上流階級に因縁をつけられたからには自分になにかを言い返す権利はない。
屈辱に耐えていると、一人の男が上流階級の男にぶつかった。
はじき飛ばされたアズマを庇いつつ、男は「あ、悪ぃ」と悪びれもなく言う。
「ギャーー!?!?アイスが!!服に!!」
「だから悪ぃって言ってんじゃねえか。アレ言わないのかよ、服がアイス食っちまったとか」
「な、なにわけのわからないことを……!ふざけんじゃねえ!」こぶしを向ける
怒り心頭で飛ばしてきたこぶしを、飄々とした男は軽く避ける。
「へぶっ!」べしゃ
「弱い物イジメは器の小ささが知れてるぜー?一昨日来な」
「こ、この……!覚えてろー!」ピューッ
「相変わらず治安最悪の街だな」
「おい、怪我は?」
「な、ないよ」
「あの……、ありがとうございます」
「すごくかっこよかった」
「お?あはは!褒めてもな~にも出ないぜ」
「見返りを期待して言ったわけじゃないよ、純粋にそう思っただけ」
「まだ小せえのにしっかりしてんなあ」
「こういうヤツが従業員だと助かるんだけど」腕組みながらうんうん頷いてる
「従業員?」
「実は俺、こういうものでして」
男は名刺を差し出す。
そこには「代行屋・砂月。~雑用、お悩み相談、なんでもやります~ レイニス」と書かれていた。
おそらくレイニスというのはこの男の名前なのだろう。
「知り合いの力を借りて起業してみたのはいいけどよ、いかんせん従業員は俺ひとりでさー」
「ひとりじゃ上手く回んねえじゃん?だから一緒に働いてくれる仲間を探してんの」
アズマは一瞬戸惑う。
もしかしたら、ここで手を挙げたら、自分の人生が変わるかもしれない。
今の生活を続けていても、なにも変わらない。
いつかどこかで限界が来て、そのまま野垂れ死ぬ。
「あのっ……ぼ、僕じゃ駄目かな」
「体力仕事には自信あるし、自分の身は自分で守れるくらいのフィジカルはあるよ」
「仕事周りの管理だってできると思う、どうかな」
「マジで!?」
「いやいや、全然大歓迎!!さんきゅな!!」
「おまえ、名前は?」
「アズマ」
「よし、これからよろしくな、アズマ!」
レイニスはニッと笑顔を浮かべてアズマに手を差し出す。
アズマはしっかりと握りしめ、そして新たな場所へと歩き出した。
一次創作
2025.3.28
No.27
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中央都市「テアトル」。巨大なビル群が立ち並び、空にはドローン型刑事アンドロイドが監視の目を光らせている。
街中を人間とアンドロイドが行き交い、今やそれを珍しいと思う者はいない。
しかし
人工知能が発達しすぎたせいなのか、今や人間を支配しているのは人工知能のほうになっていた。
人間は人工知能が指定する仕事をこなし、それで金銭を稼ぐ。
更に人間たちの中でも、貧民層と上流階級では深い溝があった。
ここで働いている少年、アズマは貧民層に住まう子供だった。
早くに両親を亡くし、一人で生きていくために奴隷染みた仕事をこなす。
しかし、汗だくで働いても手元に残るのはわずかな金額だけ。
アズマの目からは自分からぶつかってきたように見えたが、上流階級に因縁をつけられたからには自分になにかを言い返す権利はない。
屈辱に耐えていると、一人の男が上流階級の男にぶつかった。
はじき飛ばされたアズマを庇いつつ、男は「あ、悪ぃ」と悪びれもなく言う。
怒り心頭で飛ばしてきたこぶしを、飄々とした男は軽く避ける。
男は名刺を差し出す。
そこには「代行屋・砂月。~雑用、お悩み相談、なんでもやります~ レイニス」と書かれていた。
おそらくレイニスというのはこの男の名前なのだろう。
アズマは一瞬戸惑う。
もしかしたら、ここで手を挙げたら、自分の人生が変わるかもしれない。
今の生活を続けていても、なにも変わらない。
いつかどこかで限界が来て、そのまま野垂れ死ぬ。
レイニスはニッと笑顔を浮かべてアズマに手を差し出す。
アズマはしっかりと握りしめ、そして新たな場所へと歩き出した。