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飛んで火にいる冬の虫

#砂の月を目指して




俺は自分のことを蛾だと思う。



光るものに釣られて、それが大きな炎だと気づいていない、哀れでちっぽけな虫。





それが、ノワールが自分に下す評価だ。
街中はすっかり冬に彩られて、白い雪が街を覆い尽くしている。
歩けば雪を踏み潰す音が聞こえて、息を吐けば白いもやが目の前を通り過ぎる。



周囲を見渡せば、雪を喜ぶ子供たちが思い思いに雪を使った遊びをしていた。
見ればあちこちに雪だるまがある。しっかり作られて感心するものもあれば、不器用だが温かみを感じれるものもある。



そのまま街を歩いて行って、自分たちが泊っている宿へと辿り着く。


そこには、また雪だるまを作っている男がひとり。



reinice「おっ!おかえり、ノワール!」






レイニスはぱっと表情を明るくしてこちらを見る。



noir「ただいま。なにしてるんだ?」
reinice「なにしてるって、見りゃわかるだろ。雪だるま作ってんの!」


noir「俺が聞きたいのは」
noir「成人にもなってひとりでなにしてるんだってことだ」


reinice「なんだと~……」
reinice「わかんねえやつだな」

reinice「年齢に縛られて遊ぶ楽しさすら忘れたら悲しいだろ!」
reinice「普段ちゃんとしてるんだから」
reinice「こういうときくらい遊んだっていいだろ?」




noir「ちゃんとしてるかなあ」
reinice「はぁ~!?」




こういうとき、レイニスには縛るものがなくていいなと思う。



縛ろうとしてもその場から全て叩き切って前に進んでいく。
いや、縛るものが燃えて灰になっていくのほうが正しい。



いつだって燃えているような男だ、だからなんの障害も効かないし、人々は明かりに釣られて近づいていく。
その時に気付くのだ、その明かりは炎で、容易く触れられるものではないと。



レイニスにとって、自分はふさわしくない。






reinice「なんか考えてるな」
noir「ん?」
noir「う~ん……」



noir「レイニスって暖房効果があるなって……」
reinice「ど、どういうこと!?」
reinice「熱い男ってこと?俺が」




noir「正解」

一次創作

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