はなまる屋
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No.30
一次創作
LAST × BEAST 1話
飲食店「グッドヤミー」の配達員を担当している青年、旭 ヒロト。
ある日配達へ出向くと、獣牙<ジューガ>と呼ばれる魔力に侵された人間に襲われてしまう。
魔力が体内へと入り込んだヒロトもジューガと化してしまうが……。
※注意※
この作品には以下の要素が含まれています。
暴力表現/残酷表現/未成年が犠牲になる描写
<<次回 1話
絢爛豪華な屋内、ワインを片手に洒落た格好をした老若男女が談笑を交わしている。
ジャズと共に酒気を帯びた部屋はにわかに色めきだっており、誰も彼もが浮かれている。
壇上に男が立ち、会場に向かって語り掛ける。
【???】
「ようこそ皆さま、魔食<マショク>会へ」
会場にいる人間たちが一斉に彼を見る。
【???】
「皆さまに幸運が降りかからんことを」
男の言葉に、会場は拍手で埋まっていく。
男が不敵に微笑んだことに気付かずに。
〇〇〇〇 〇〇〇〇
飲食店「グッドヤミー」。
フードデリバリーも行っている個人経営の飲食店だ。
時刻は昼頃。
店は大いに賑わっており、店長である
蒼月
(
あおつき
)
結衣
(
ゆい
)
は忙しそうに歩き回っていた。
【蒼月結衣】
「ヒロトー!注文入った!デリバリー頼む!」
結衣がそう奥へと声を掛ければ、活発そうな青年が顔を覗かせた。
【旭ヒロト】
「はーい!行ってきます!」
デリバリー担当、
旭
(
あさひ
)
ヒロトは、元気よく返事をして店を出た。
バイクに乗り込み、しばらく走らせる。
スマホに表示されるナビは問題なく動作しており、目的地までもう少しだ。
といったところで、とある施設に通りかかりバイクを止める。
【子供たち】
「あ!ヒロトにいちゃん!」
施設内にいた子供が顔を上げ、一斉にヒロトに向かって駆け出す。
ヒロトに気付いた女性も近づき、顔を明るくする。
【院長】
「あらヒロトくん!いらっしゃい!」
彼女はヒロトを幼い頃から見てくれていた孤児院の院長先生だ。
ヒロトは笑顔を浮かべる。
【旭ヒロト】
「こんにちは!通りかかったから挨拶に来たんだ」
「あとこれ、どうぞ」
ヒロトはお菓子の入った袋を差し出す。
【院長】
「いつもありがとうね」
「今仕事中?」
【旭ヒロト】
「うん、だから今日は子供たちと食べて」
【院長】
「頑張ってね、またいつでもいらっしゃい」
【旭ヒロト】
「うん!じゃあまたね!」
子供たちが「ヒロトにいちゃんまたね~!」と手を振る姿を見ながら、ヒロトはバイクに跨り目的地へと走らせた。
ヒロトは元孤児だ。
両親の顔は見たことがない、生きているかもわからない。
赤ん坊の頃、この施設に捨てられていたらしい。それを見た孤児院の先生たちがヒロトを大人になるまで育ててくれた。
今でも頻繁に孤児院に通い、子供たちの支援や寄付を行っている。
思い出深い、ヒロトにとって大切な場所がこの孤児院だ。
〇〇〇〇 〇〇〇〇
【旭ヒロト】
「すみませーん!グッドヤミーのデリバリーですー!」
ヒロトが辿り着いた先は、周囲には誰もいない廃倉庫だった。
こんなところで出前を頼むとは考えにくい、イタズラかなにかだったのだろうか?
首を傾げながら中へ入って行くと、数人の人間が座り込んでいた。
【旭ヒロト】
「あ、すみません。グッドヤミーのデリバリーなんですけど……」
ヒロトは足を止める。
そこにいる人間たちから異様な空気が漂っているのを感じたからだ。
人間たちはゆっくりと立ち上がり、ヒロトを睨む。
呻き声を上げたかと思うと、それはまるで獣の咆哮のように変わっていく。
それと同時に、身体もぐにゃりと形を変え、全体が骨で出来たような硬質な皮膚が組みあがって行く。
驚愕に立ち止まるヒロトだったが、格好の餌食とでもいうように化け物たちはヒロトへと襲い掛かる。
【旭ヒロト】
「うわっ!?ま、ま、待って……!」
間一髪のところで避けるヒロトだが、化け物たちはまだ襲い掛かってくる。
刃と化した爪が目の前を掠める。こんなものロクに喰らえば生きているかすらわからない。
【???】
「手を挙げろ、動けば撃つ!」
突如、低い声が響く。
見れば入口のほうに知らぬ男が拳銃を構えていた。
【旭ヒロト】
「ま、待って!撃たないで!多分この人たち人間で……!」
【???】
「言ってる場合か、死ぬぞ」
化け物たちは男へも狙いを定める。
しかし、男の身体能力が良いのか、化け物たちを見事にも薙ぎ払っていく。
【旭ヒロト】
「え!?きみ、強くない!?」
【???】
「褒めるなら後でしろ!」
しかし、化け物たちの猛攻は止まらない。
じわじわと追い詰められていくのは止まらず、化け物が一人ヒロトの肩を掴んだ。
鋭い牙が皮膚に突き刺さって行く。その痛みをまるでスローのように感じていた。
ドクン、と心臓が脈を打つ。
血流に沿って身体が熱くなっていく、脳みそが沸騰しそうなほど煮えたぎっていくのを感じる。
【???】
「おまえ……!!」
ヒロトの身体は化け物と同じように変化していく。
地を這うような呻き声が勝手に上がる。目を開ければ、化け物と同じ身体がそこにあった。
【旭ヒロト】
「うわ~~!!おれ、化け物になっちゃった!!」
【???】
「え?」
【旭ヒロト】
「え?」
【???】
「……」
「いや、意識あるのか?」
【旭ヒロト】
「え?あ、なんかある!」
「身体も別に普通に動くよ、ほら」
【???】
「……」
「……よくわからないが」
「とにかくこいつらをなんとかするぞ!」
【旭ヒロト】
「おっけー!」
化け物に変化したことによって身体能力が上がったらしい。
先程まで歯が立たなかった相手だったが、今は攻撃が効いているらしい。
ヒロトの攻撃により、化け物たちは次々に怯んでいく。
化け物たちは顔を見合わせ、倉庫から立ち去って行く。
【???】
「……終わったか」
男が呟くと、ヒロトの身体も元に戻って行く。
【旭ヒロト】
「なんだったんだろう、アレ……」
【???】
「よくわからんが」
男はヒロトに銃を向ける。
【旭ヒロト】
「え!?なんで!?」
【???】
「貴様もいつヤツらと同じように人を攻撃するかわからん」
「署まで同行願おう」
【旭ヒロト】
「待って!おれ、ただの配達員だよ!!」
【???】
「それも署で……」
【???】
「……白石だ、どうした」
【無線】
『××番地で人が襲われているんです、助けてください!』
【???】
「……」
「……わかった」
男はしばらくヒロトから目を離さないでいたが、現場へ向かうために走って行く。
ヒロトはへろへろと地面に座り込み、盛大にため息をついた。
〇〇〇〇 〇〇〇〇
現場へ到着した男――
白石
(
しらいし
)
蓮
(
れん
)
だったが、周囲を見ても異変はなにもない。
イタズラの通報だったのだろうか、と意識を過らせた瞬間――目の前が真っ暗になった。
【白石蓮】
「ぐ、あ……ッ!?」
【???】
「いい材料になりそうだよ、刑事さん」
<<次回 1話
#LAST × BEAST
2026.3.10
No.30
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飲食店「グッドヤミー」の配達員を担当している青年、旭 ヒロト。
ある日配達へ出向くと、獣牙<ジューガ>と呼ばれる魔力に侵された人間に襲われてしまう。
魔力が体内へと入り込んだヒロトもジューガと化してしまうが……。
<<次回 1話
絢爛豪華な屋内、ワインを片手に洒落た格好をした老若男女が談笑を交わしている。
ジャズと共に酒気を帯びた部屋はにわかに色めきだっており、誰も彼もが浮かれている。
壇上に男が立ち、会場に向かって語り掛ける。
「ようこそ皆さま、魔食<マショク>会へ」
会場にいる人間たちが一斉に彼を見る。
「皆さまに幸運が降りかからんことを」
男の言葉に、会場は拍手で埋まっていく。
男が不敵に微笑んだことに気付かずに。
〇〇〇〇 〇〇〇〇
飲食店「グッドヤミー」。
フードデリバリーも行っている個人経営の飲食店だ。
時刻は昼頃。
店は大いに賑わっており、店長である蒼月 結衣は忙しそうに歩き回っていた。
「ヒロトー!注文入った!デリバリー頼む!」
結衣がそう奥へと声を掛ければ、活発そうな青年が顔を覗かせた。
「はーい!行ってきます!」
デリバリー担当、旭 ヒロトは、元気よく返事をして店を出た。
バイクに乗り込み、しばらく走らせる。
スマホに表示されるナビは問題なく動作しており、目的地までもう少しだ。
といったところで、とある施設に通りかかりバイクを止める。
「あ!ヒロトにいちゃん!」
施設内にいた子供が顔を上げ、一斉にヒロトに向かって駆け出す。
ヒロトに気付いた女性も近づき、顔を明るくする。
「あらヒロトくん!いらっしゃい!」
彼女はヒロトを幼い頃から見てくれていた孤児院の院長先生だ。
ヒロトは笑顔を浮かべる。
「こんにちは!通りかかったから挨拶に来たんだ」
「あとこれ、どうぞ」
ヒロトはお菓子の入った袋を差し出す。
「いつもありがとうね」
「今仕事中?」
「うん、だから今日は子供たちと食べて」
「頑張ってね、またいつでもいらっしゃい」
「うん!じゃあまたね!」
子供たちが「ヒロトにいちゃんまたね~!」と手を振る姿を見ながら、ヒロトはバイクに跨り目的地へと走らせた。
ヒロトは元孤児だ。
両親の顔は見たことがない、生きているかもわからない。
赤ん坊の頃、この施設に捨てられていたらしい。それを見た孤児院の先生たちがヒロトを大人になるまで育ててくれた。
今でも頻繁に孤児院に通い、子供たちの支援や寄付を行っている。
思い出深い、ヒロトにとって大切な場所がこの孤児院だ。
〇〇〇〇 〇〇〇〇
「すみませーん!グッドヤミーのデリバリーですー!」
ヒロトが辿り着いた先は、周囲には誰もいない廃倉庫だった。
こんなところで出前を頼むとは考えにくい、イタズラかなにかだったのだろうか?
首を傾げながら中へ入って行くと、数人の人間が座り込んでいた。
「あ、すみません。グッドヤミーのデリバリーなんですけど……」
ヒロトは足を止める。
そこにいる人間たちから異様な空気が漂っているのを感じたからだ。
人間たちはゆっくりと立ち上がり、ヒロトを睨む。
呻き声を上げたかと思うと、それはまるで獣の咆哮のように変わっていく。
それと同時に、身体もぐにゃりと形を変え、全体が骨で出来たような硬質な皮膚が組みあがって行く。
驚愕に立ち止まるヒロトだったが、格好の餌食とでもいうように化け物たちはヒロトへと襲い掛かる。
「うわっ!?ま、ま、待って……!」
間一髪のところで避けるヒロトだが、化け物たちはまだ襲い掛かってくる。
刃と化した爪が目の前を掠める。こんなものロクに喰らえば生きているかすらわからない。
「手を挙げろ、動けば撃つ!」
突如、低い声が響く。
見れば入口のほうに知らぬ男が拳銃を構えていた。
「ま、待って!撃たないで!多分この人たち人間で……!」
「言ってる場合か、死ぬぞ」
化け物たちは男へも狙いを定める。
しかし、男の身体能力が良いのか、化け物たちを見事にも薙ぎ払っていく。
「え!?きみ、強くない!?」
「褒めるなら後でしろ!」
しかし、化け物たちの猛攻は止まらない。
じわじわと追い詰められていくのは止まらず、化け物が一人ヒロトの肩を掴んだ。
鋭い牙が皮膚に突き刺さって行く。その痛みをまるでスローのように感じていた。
ドクン、と心臓が脈を打つ。
血流に沿って身体が熱くなっていく、脳みそが沸騰しそうなほど煮えたぎっていくのを感じる。
「おまえ……!!」
ヒロトの身体は化け物と同じように変化していく。
地を這うような呻き声が勝手に上がる。目を開ければ、化け物と同じ身体がそこにあった。
「うわ~~!!おれ、化け物になっちゃった!!」
「え?」
「え?」
「……」
「いや、意識あるのか?」
「え?あ、なんかある!」
「身体も別に普通に動くよ、ほら」
「……」
「……よくわからないが」
「とにかくこいつらをなんとかするぞ!」
「おっけー!」
化け物に変化したことによって身体能力が上がったらしい。
先程まで歯が立たなかった相手だったが、今は攻撃が効いているらしい。
ヒロトの攻撃により、化け物たちは次々に怯んでいく。
化け物たちは顔を見合わせ、倉庫から立ち去って行く。
「……終わったか」
男が呟くと、ヒロトの身体も元に戻って行く。
「なんだったんだろう、アレ……」
「よくわからんが」
男はヒロトに銃を向ける。
「え!?なんで!?」
「貴様もいつヤツらと同じように人を攻撃するかわからん」
「署まで同行願おう」
「待って!おれ、ただの配達員だよ!!」
「それも署で……」
「……白石だ、どうした」
『××番地で人が襲われているんです、助けてください!』
「……」
「……わかった」
男はしばらくヒロトから目を離さないでいたが、現場へ向かうために走って行く。
ヒロトはへろへろと地面に座り込み、盛大にため息をついた。
〇〇〇〇 〇〇〇〇
現場へ到着した男――白石 蓮だったが、周囲を見ても異変はなにもない。
イタズラの通報だったのだろうか、と意識を過らせた瞬間――目の前が真っ暗になった。
「ぐ、あ……ッ!?」
「いい材料になりそうだよ、刑事さん」
<<次回 1話
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