はなまる屋

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No.61

一次創作,朝食の皿に四角い卵

もうこんな話はやめよう

ゴミ出しに向かった犬神と、しょうもない喧嘩をしている黒箱と宍戸

 朝。目覚まし時計より早くに目覚めた犬神は、ゆっくりと上半身を起こす。隣でまだ穏やかに寝息を立てて眠る津西の寝顔をしばらく眺めて、少しだけ笑みを零す。
 起こすのは朝ごはんを作ってからで良いだろう。それはそれとして、犬神が早起きしたのには理由がある。ゴミ出しだ。
 部屋のカーテンや諸々は帰って来てからやろうと思い、ある程度身支度を済ませた犬神は玄関を出て行く。そしてマンションの入り口まで降りていくと、声が聞こえて来た。
 それはどちらかというとあまり出会いたくない声で、心の中で頭を抱えつつも角を曲がる。

「うるせえな!!おまえも髪ボサボサのまま出て来たくせに!!」
「こんな早朝にキッチリ整えてられるか こういうのは適当でいいんだよ」
「じゃあ人の身嗜みに口出してくんじゃねえ!!ハゲ!!」
「誰がハゲだ!」

 そこには想定していた通り、宍戸大牙と黒箱刻の姿があった。いつも仕様もないことで口喧嘩の絶えない二人だ、どうせ今回もどうでもいいことに黒箱が口を出し、それに宍戸が噛みついたのだろう。
 あわよくばその口喧嘩に気を取られているうちにゴミを出して帰れないかと思っていたが、全然犬神のことには気づいていたようで、黒箱が振り返る。

「おまえがオールバックを敵に回したせいで犬神も将来ハゲることになるんだぞ」
「オールバックは敵に回していない、俺がハゲてほしいのは黒箱だけだ!」
「…………」

 どうやら巻き込まれたらしい。

「……おまえら、朝から近所迷惑だぞ」
「犬神、おまえは言われっぱなしでいいのか よくないだろ」
「犬神!!おまえどっちの味方だ!!」
「どっちの味方のつもりもないが」

 二人はまだギャースカと喧嘩を続けている。そうしているうちに遠くからトラックの音が聞こえて来た。

「ゴミ収集車の邪魔になる、さっさと散れ」
「髪が?」
「髪が!?!?」
「髪の話はしていない」

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