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Re;dREgina 第3話

#Re;dREgina

※注意※
当作品に含まれる成分表。
暴力/流血/倫理観の欠如/人外化/年齢が非常に若い刑事などのファンタジー設定


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natsuo「ここがディルクロ社か~……」

全面的に白を基調とした建物。
無駄をそぎ落としたシンプルなデザインに、洒落たフォントの会社のロゴが似合っている。

natsuo「でもなんか……」
natsuo「遊び心ないね、玩具の会社なのに」

sakura「玩具作りはヴィルトゥスだけですよ」
sakura「ディルクロは様々な事業を展開させてる会社です」
sakura「有名所で言ったら、法人でサイト立ち上げるのにディルクロのサーバーを使っている。なんてよくありますよ」

natsuo「へえ~」
syuichi「よくわかってない顔してんな」

syuichi「とにかく」
syuichi「折角ヴィルトゥスの社長が話通してくれたんだ」
syuichi「さっきみたいな暴走すんなよ」
sakura「ウ。は、はぁ~い……」



☆☆☆



受付嬢に話せば、彼女は「お待ちしておりました」と頭を下げる。

npc「ただ……、申し訳ありません」
npc「会議の時間が長引いているようで」
npc「社長がまだお戻りになっていないんです」
natsuo「え~っ!?」
syuichi「いつ頃戻るか目処はつくか?」
npc「30分ほどお待ちいただければ、お姿が見えるかと」
syuichi「わかった」


sakura「お忙しいんですねえ」
sakura「まあ、社長ですし……」
sakura「常に別の会社に行って挨拶とか、営業とか」
sakura「飛び回っているものですからねえ……」
natsuo「へー」
natsuo「最上階で街を見下ろしてるイメージしかなかったな」
sakura「絶対悪役で想像してるでしょ」

休憩できる場所を探して歩いていると、曲がり角に来たところで夏生が誰かにぶつかる。
向こうは走って来ていたようで、互いに尻餅をついてしまった。

enmiss「うわッ!!」
natsuo「いてっ!!」

sakura「あ~らら……」
sakura「二人とも、大丈夫ですか?怪我は?」

natsuo「俺は大丈夫!」
natsuo「す、すみません!大丈夫ですか!?」

enmiss「こ、こちらこそすみません、不注意で……」

enmiss「……え?」

ぶつかった相手は夏生の顔を見て目を見開く。

enmiss「な、seeker-002……なんで!?」
natsuo「え?」

その名に、夏生だけではなく柊一と朔良も表情がこわばる。

syuichi「……今、シーカーって言ったか?」


enmiss「え、あっ、い、いや……」
sakura「どういうことです」
sakura「あんた、なにか知ってるんですか?」

enmiss「え、えぅ、う」

mizuki緊急!緊急!
mizuki『シーカーと思わしき怪物を発見!』
mizuki『街中で人を襲っとるんや!大事件やで!』

柊一の無線から、瑞希の焦った声が響く。

syuichi「……」

怪しげな男から視線を逸らさないまま「わかった」と応答した柊一は、男を置いて出口へ歩き出す。

syuichi「行くぞ」
sakura「で、でもどうするんですこいつ」
syuichi「今は事態の収束が最優先だ」
syuichi「行けるか、夏生」
natsuo「う、うん」

見逃されたと安心したのか、男はすぐ様その場から逃げ出す。

natsuo「…………」

syuichi「おまえにも聞きたいことはあるが」
syuichi「今は協力し合う仲間だ」
sakura「……そうですね、それはもちろん」

natsuo「……ありがとう」



☆☆☆



現場へ向かう。
そこは人通りの多い交差点だ。今までのシーカー事件は人通りの少ない場所に出るのが常だった。
それが急に、多くの人間に目撃された。

既に周囲は多くの警官がおり、避難と射撃を続けていた。

mizuki「あっ」
mizuki「柊一さん!!」

避難誘導を続けていた瑞稀が柊一らに気づき、駆け寄る。

syuichi「悪い、遅くなった」
syuichi「……あれが、シーカーか」

一言で表すなら、モンスターだと思った。
攻撃性を形にしたそのもの。
見た者の正気を削り取るようなその姿は、人に恐怖を植え付けるのには十分だった。

mizuki「攻撃は続けてるんやけど、効いた感じが一切せえへん」
mizuki「このままやと被害が拡大してまう!」

sakura「とはいっても……」
sakura「拳銃効かないんだったら他のも効かなくないですか?」





mahuyu「効かねえんだったら効くヤツ作りゃぁいい」





sakura「え」
sakura「ま、真冬さん!?」


mahuyu「おらよ、刑事さん」

真冬は持っていた拳銃を柊一に渡す。
その拳銃は、子供向けの玩具売り場で売っているようなポップな形をしていた。

mahuyu「シーカー専用の銃弾が入ってる」

mahuyu「十日が持ってきたシーカーの組織から解析して、俺が作ったオリジナル武器」
mahuyu「銃で作っちまったけど、俺に射撃の腕なんてねえし!」
mahuyu「頼んだぜ~」

syuichi「(銃刀法違反……)」

sakura「す、すごいじゃないですか真冬さん!!」
sakura「これでアイツ倒せるんですね!?」

mahuyu「倒せる!」

mahuyu「多分!」
natsuo「多分!?」

mahuyu「絶対倒せる!」

mahuyu「多分絶対!」
sakura「どっちなんですか!!」


syuichi「とりあえず当ててみないとわからないな」




柊一は息を吐いて、シーカーに銃口を向ける。
そして引き金を引いて、その銃弾は真っ直ぐにシーカーの頭部を貫いた。




sakura「当たった……!!」






――しかし。






その開いた頭部から見えた真っ赤な血は、次第に周囲に巻き散らされていく。



赤い血はみるみるうちに地面を真っ赤に染め上げる。紙に染み込むコーヒーのように、建物にも手を伸ばす。




いつしか視界には赤しか映らなくなっていた。




白い雲は黒へ、青い空は赤へ、太陽は黒くぽっかりと穴を空け、いつしかそこにあったのは皆が知る世界ではない。



彼らの理解が追い付く前に、あちらこちらから絶叫が上がる。
地面から這い上がるシーカーが、人を襲っているのだ。




mahuyu「……話が違うな」



真冬が銃を与えなければ、柊一が当てなければよかったのか。



そう考える皆の思考を止めたのは夏生の声だ。



natsuo「違う……」
natsuo「最初からこうなるように仕組まれてたんだ」










tasikku「ようこそ人類たち」
tasikkuレッドレギナの世界へ!!





高らかに笑う声の向こうに、見知った顔が彼らを見据えていた。






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