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※注意※当作品に含まれる成分表。暴力/流血/倫理観の欠如/人外化/年齢が非常に若い刑事などのファンタジー設定
一次創作 2025.12.19 No.52
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街中に溢れていたシーカーは、大槻真冬が開発した武器の支給により鎮静化された。
ディルクロ社はシーカー及び違法実験に関与していたとされ、社員の取り調べが行われた。
全員は関係しているわけではなく、御前の協力の元暴かれた研究員たちは全員逮捕。
エスーー、本名斎藤 三影は、研究内容と事件の始終を供述。
「私はね、玩具を作りたかったんだよ」
「自我がある、そして私を守ってくれる、兵隊みたいな玩具」
「それを、国を守る兵器を作ろうって言って研究員を募った」
「この供述を知ったら」
「私は研究員たちにも恨まれるだろうね」
親玉であったseeker-001が沈静化したことで、空を覆う赤は消え去っていた。
☆☆☆
あの時シーカーに飲み込まれていた人たちは、順調に回復していると報せが入った。
天音御前は、「松岡」と書かれた病室のドアをノックする。
「はぁい」
「調子はどう?」
「ちょっと身体がしんどい程度」
「もう大丈夫だよ」
「もう死んだものだと思ってたけど」
「まさかまだ生きてるとはね」
「運がいいんだか悪いんだか」
「ホントに」
「……研究所まで行って、あなたが掴んだのって」
「夏生がシーカーだってこと?」
「そう」
「……あとは、夏生はレギナのクローンだったってことかな」
「それはシーカー全員がそうなんだけど」
「シーカーはレギナの細胞から産まれた生物兵器」
「レギナは、研究の総監督であるレオン・カーロイの息子でさ」
「産まれたときから父親の研究材料として様々な訓練と実験を繰り返されてたらしい」
「……そう考えると」
「レギナってひとの人生は、なんだったんだろうね」
「父親が死んでも、最期まで斎藤の研究材料として見ていなかった」
「それがさ」
「斎藤三影は、レギナの墓を作ってやってほしいって」
「えっ」
「そんな情があったんですか?あのひと」
「情っていうか……」
「愛着、なのかも」
「いなくなったのは、寂しいそうだ」
「……」
「とことん、実験体としか見てなかったんですね」
「人の心ってのがない」
「……俺も、少しでも違う道へ歩んでいれば」
「レギナみたいに、誰にも」
「なんにも期待できなくなっていたのかな」
「死ぬことすら恐怖できなくて」
「世界中の敵になってしまう絶望もなくて」
「なにも感じないひとに」
「…………」
「……人生ってそういうものですよ」
「一歩違えば奈落です」
「同情するのは勝手だが」
「これから、おまえの道はおまえしか選べない」
「シーカーではない、獣地夏生としての道を」
「おまえがしっかり考えて、選べよ」
「進化の競争では、生き残るためには走り続けないといけないんでしたっけ」
「大変ですけど」
「俺は明星朔良として、止まる気はありませんから」
「あんたらも、立ち止まらないでくださいね」
「あ、いたいた!」
「朔良~~!早くヴィルトゥスに戻れよ!」
「仕事が山ほど溜まってるぜ!」
「ヤダ~~~ッッ!!」
鈴鹿柊一はC課として、獣地夏生はシーカーとして。それぞれの問題を乗り越えたが……。
ただの会社員である明星朔良は、区切りなんてものはないらしい。
Re;dREgina END
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