はなまる屋

by,間宮/位

悪夢

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#バイオハザード
「コーエン少尉」「死にたくない、死にたくないです」「前が見えないんです、暗くて、寒くて、暑くて」「俺死ぬんですか」

大丈夫、大丈夫だと言い聞かせて、息も絶え絶えな隊員を介抱しようと思考を巡らせる。

「置いていけ、コーエン」

そう言ったのは隊長だった。
ビリーがなにかを言う暇もなく、隊長や周囲の隊員は前に進んでいく。
行くしかない、任務を遂行するしかないのだ。
ビリーの腕を掴んでいたはずの隊員は、いつしか力なく触れるだけになっていて、呼吸すらも小さすぎて聞こえなくなっていた。

悪い、とも言えなかった。ごめん、はもっと言えなかった。

謝罪したところで、どうにかなるものでもないし、自分の夢見がよくなるとも思えなかった。
武器を抱えて、ビリーは森の奥へ進んで行った。


次>2

二次創作