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No.6
一次創作
Re;dREgina 前日譚:獣地 夏生
※注意※
当作品に含まれる成分表。
暴力/流血/倫理観の欠如/人外化/年齢が非常に若い刑事などのファンタジー設定
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【???】
「数値は正常……」
「こっちも問題無し」
【???】
「ハァ……早く完成して俺の負担を減らしてくださいよ」
「いやこいつが完成したらまた新しいシーカー造らされるのか……」
「面倒くさいな……」
【???】
「おい、エンミス」
【タシック】
「タシックだ」
【エンミス】
「あ、ああ」
「タシックさん。こんばんは」
【エンミス】
「何の用です、別になんの問題も起こってませんよ……」
【タシック】
「何の用です、じゃねーよ!」
「会議時間になっても来ねえから迎えに来たんだろうが」
【タシック】
「あたしの手を煩わせやがって、さっさと来い!」
【エンミス】
「あ、ああ。すみません、すみません」
☆☆☆
誰もいなくなった研究室に、培養槽と機械の音だけが鳴っている。
培養槽に入れられている、人間の形をしたもの。あるいはモンスターや獣の形をしたもの。
その中に既に培養槽から出され、機械の椅子に座らされている個体があった。
頭に付けられた制御装置がピーという小さな音を鳴らし、停止する。
【???】
「……」
個体が目を覚ます。
周囲を見渡し、まだハッキリとしない意識のまま持ち上げた片手が頭の制御装置に触れる。
【???】
「なんだ、これ……」
自身の状況をうまく呑み込めない。それでも異質なことは理解できた。
ふと、制御装置以外にも首に札が付けられていることに気付く。
その札には「seeker-002」と書かれていた。
【???】
「しー……かー……ゼロゼロニー?」
【???】
「よくわかんないけど……」
「ここ怖いし、出よう」
出口を探すために部屋を出た彼は、その後監視カメラに映ったことで追われることになる。
☆☆☆
それからどれほどの時間が経ったかはわからない。
茂みから出た彼は、見慣れない道路に出ていた。
行き交う人々に思わず驚いてしまうが、忙しいのか或いは関わらないようにするためか、誰も彼を気にしなかった。
【???】
「は……」
【???】
「腹、減った……」
自身を追う人間もいないことの安心感からか、一気に疲労が襲い掛かる。
腹から聞こえる空腹を訴える声を聞きながら、彼は倒れ込んだ。
☆☆☆
【???】
「あ、起きた?」
目を覚ますと、またもや知らない場所だった。
覗き込んでくる顔は鮮やかなオレンジをした髪の女性で、彼女は優しく微笑むとそばに白湯を置く。
【天音御前】
「私は
天音
(
あまね
)
御前
(
みさき
)
」
「このお店の主」
【天音御前】「君が倒れてたから、ここまで運んできたんだけど……」
「体調のほうはどう?」
【???】
「あ、ありがとうございます」
「お……おなか空いてて……」
【天音御前】
「どういうのだったら食べれそう?」
【???】
「ど、どういうのがあるんですか?」
【天音御前】
「そうだなあ」
【天音御前】
「チャーハンとかどう?」
「重いイメージを持たれるかもしれないけど、味付けのやり方によってはさっぱりして食が進むものにだってできるよ」
【???】
「じ、じゃあそれで!」
【天音御前】
「オッケー」
~ご飯ができた~
【???】
「お……」
「美味しい~~~!!」
【天音御前】
「うんうん、よかったよかった」
「落ち着いて食べて。ご飯は逃げないからさ」
【???】
「こんな美味しいご飯初めて食べた……!!」
【???】
「本当にありがとうございます!!命の恩人です!!」
【天音御前】
「大袈裟だなあ」
【天音御前】
「ところで、キミの名前は?」
【???】
「名前?」
「……えーっと……」
脳裏に「seeker-002」という文字が浮かぶ。
さすがにこれを名乗るわけにはいかない。
【???】
「……じ、実はちょっと記憶喪失で……」
【???】
「名前も帰る場所もないっていうか……」
【天音御前】
「へえ、複雑な状況なんだ」
【天音御前】
「ふーむ……」
【天音御前】
「あのさ、ここって情報屋を営んでるお店なんだけど」
「従業員が私一人しかいないんだよね」
「だから衣食住を与える代わりに、私のお仕事手伝ってくれない?」
【???】
「え……い、いいんですか!?」
【天音御前】
「もちろんちゃんと働いてもらうけどね」
【???】
「ぜ、是非是非!!俺、しっかり働きます!!」
【松岡十日】
「社員入社おめでとう、御前」
【???】
「え、誰!?」
【松岡十日】
「初めまして、俺はここのお店の常連客」
「
松岡
(
まつおか
)
十日
(
とーか
)
っていうんだ」
【松岡十日】
「前頼んだものを受け取りに来たんだけど」
【天音御前】
「ああ、これね」
【天音御前】
「はい、どうぞ」
【松岡十日】
「どうも~♪」
【???】
「なに?それ」
【天音御前】
「大手企業ヴィルトゥス社の社員情報が入ったデータ」
「なんで必要なのかは詳しく知らないけど」
「それなりに大金払ってもらっちゃってるからお仕事はしないとね」
【松岡十日】
「いつも助かってま~す♪」
【???】
「へえ~……。なんか、本当に情報屋やってるんですね」
【天音御前】
「疑ってたの?」
【???】
「え!?いや、別にそんなつもりじゃ」
【松岡十日】
「ドラマに出てくるみたいな情報屋でしょ?こういうところが好きなんだよ」
【松岡十日】
「じゃ、俺はこれで」
【天音御前】
「はーい、今後ともご贔屓にー」
【天音御前】
「じゃ、今日からはキミに情報屋としてのノウハウをキッチリ叩きこんでいくからね」
【???】
「かっこいい~……!!任せてください!」
【天音御前】
「やる気あっていいね~」
【天音御前】
「その前にキミの名前だね」
「いいの決めてあげる」
そうして名の無かった個体は、
獣地
(
じゅうじ
)
夏生
(
なつお
)
として生きることになる。
☆☆☆☆
それから数ヶ月。
夏生は御前から仕事を教わり、今ではそれなりに充実した日々を送っていた。
常連客ということもあり、十日ともよく会う仲になっていた。
その楽しい日々も、ある殺人事件をきっかけに崩壊する。
【獣地夏生】
「え……十日さんが、殺された?」
【天音御前】
「どうやら近頃密かに囁かれてる事件に巻き込まれた可能性が高いみたい」
【天音御前】
「シーカー事件って知ってる?」
【獣地夏生】
「シーカー事件……?」
【天音御前】
「今は表立って報道はされてないけど」
「警察が密かに捜査している事件」
【天音御前】
「SNSとか、オカルト系配信者の間では」
「化け物が人を襲ったとか言ってる人がちらほらいるんだけど」
「事件現場に『seeker』と書かれてる札が落ちていたのが発端でそう呼ばれてるみたいね」
【獣地夏生】
「…………」
【天音御前】
「それで、今回の十日の事件もシーカーが引き起こしたものじゃないかって言われてるらしいの」
「遺体に噛みつかれてるような痕があるってね」
【天音御前】
「現時点で不明なのは、その遺体のそばにヴィルトゥス社が制作した車型の玩具が落ちていたってこと」
「確かにケモノモチーフの車のデザインをしているけど」
「これが嚙みついたなんてありえないでしょ?」
【獣地夏生】
「俺もそう思う……」
【獣地夏生】
「……うーん……」
【獣地夏生】
「御前さん、俺現場に向かってみていい?」
【天音御前】
「ちょうど頼もうと思ってたところ」
【天音御前】
「これは誰に依頼されたものでもないけど」
「贔屓にしてくれてた客を一人失ったもの」
「彼の無念は晴らしてあげたいしね」
【獣地夏生】
「うん。じゃあ行ってきます!」
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2026.3.9
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「数値は正常……」
「こっちも問題無し」
「ハァ……早く完成して俺の負担を減らしてくださいよ」
「いやこいつが完成したらまた新しいシーカー造らされるのか……」
「面倒くさいな……」
「おい、エンミス」
「タシックだ」
「あ、ああ」
「タシックさん。こんばんは」
「何の用です、別になんの問題も起こってませんよ……」
「何の用です、じゃねーよ!」
「会議時間になっても来ねえから迎えに来たんだろうが」
「あたしの手を煩わせやがって、さっさと来い!」
「あ、ああ。すみません、すみません」
☆☆☆
誰もいなくなった研究室に、培養槽と機械の音だけが鳴っている。
培養槽に入れられている、人間の形をしたもの。あるいはモンスターや獣の形をしたもの。
その中に既に培養槽から出され、機械の椅子に座らされている個体があった。
頭に付けられた制御装置がピーという小さな音を鳴らし、停止する。
「……」
個体が目を覚ます。
周囲を見渡し、まだハッキリとしない意識のまま持ち上げた片手が頭の制御装置に触れる。
「なんだ、これ……」
自身の状況をうまく呑み込めない。それでも異質なことは理解できた。
ふと、制御装置以外にも首に札が付けられていることに気付く。
その札には「seeker-002」と書かれていた。
「しー……かー……ゼロゼロニー?」
「よくわかんないけど……」
「ここ怖いし、出よう」
出口を探すために部屋を出た彼は、その後監視カメラに映ったことで追われることになる。
☆☆☆
それからどれほどの時間が経ったかはわからない。
茂みから出た彼は、見慣れない道路に出ていた。
行き交う人々に思わず驚いてしまうが、忙しいのか或いは関わらないようにするためか、誰も彼を気にしなかった。
「は……」
「腹、減った……」
自身を追う人間もいないことの安心感からか、一気に疲労が襲い掛かる。
腹から聞こえる空腹を訴える声を聞きながら、彼は倒れ込んだ。
☆☆☆
「あ、起きた?」
目を覚ますと、またもや知らない場所だった。
覗き込んでくる顔は鮮やかなオレンジをした髪の女性で、彼女は優しく微笑むとそばに白湯を置く。
「私は天音 御前」
「このお店の主」
「体調のほうはどう?」
「あ、ありがとうございます」
「お……おなか空いてて……」
「どういうのだったら食べれそう?」
「ど、どういうのがあるんですか?」
「そうだなあ」
「チャーハンとかどう?」
「重いイメージを持たれるかもしれないけど、味付けのやり方によってはさっぱりして食が進むものにだってできるよ」
「じ、じゃあそれで!」
「オッケー」
~ご飯ができた~
「お……」
「美味しい~~~!!」
「うんうん、よかったよかった」
「落ち着いて食べて。ご飯は逃げないからさ」
「こんな美味しいご飯初めて食べた……!!」
「本当にありがとうございます!!命の恩人です!!」
「大袈裟だなあ」
「ところで、キミの名前は?」
「名前?」
「……えーっと……」
脳裏に「seeker-002」という文字が浮かぶ。
さすがにこれを名乗るわけにはいかない。
「……じ、実はちょっと記憶喪失で……」
「名前も帰る場所もないっていうか……」
「へえ、複雑な状況なんだ」
「ふーむ……」
「あのさ、ここって情報屋を営んでるお店なんだけど」
「従業員が私一人しかいないんだよね」
「だから衣食住を与える代わりに、私のお仕事手伝ってくれない?」
「え……い、いいんですか!?」
「もちろんちゃんと働いてもらうけどね」
「ぜ、是非是非!!俺、しっかり働きます!!」
「社員入社おめでとう、御前」
「え、誰!?」
「初めまして、俺はここのお店の常連客」
「松岡 十日っていうんだ」
「前頼んだものを受け取りに来たんだけど」
「ああ、これね」
「はい、どうぞ」
「どうも~♪」
「なに?それ」
「大手企業ヴィルトゥス社の社員情報が入ったデータ」
「なんで必要なのかは詳しく知らないけど」
「それなりに大金払ってもらっちゃってるからお仕事はしないとね」
「いつも助かってま~す♪」
「へえ~……。なんか、本当に情報屋やってるんですね」
「疑ってたの?」
「え!?いや、別にそんなつもりじゃ」
「ドラマに出てくるみたいな情報屋でしょ?こういうところが好きなんだよ」
「じゃ、俺はこれで」
「はーい、今後ともご贔屓にー」
「じゃ、今日からはキミに情報屋としてのノウハウをキッチリ叩きこんでいくからね」
「かっこいい~……!!任せてください!」
「やる気あっていいね~」
「その前にキミの名前だね」
「いいの決めてあげる」
そうして名の無かった個体は、獣地 夏生として生きることになる。
☆☆☆☆
それから数ヶ月。
夏生は御前から仕事を教わり、今ではそれなりに充実した日々を送っていた。
常連客ということもあり、十日ともよく会う仲になっていた。
その楽しい日々も、ある殺人事件をきっかけに崩壊する。
「え……十日さんが、殺された?」
「どうやら近頃密かに囁かれてる事件に巻き込まれた可能性が高いみたい」
「シーカー事件って知ってる?」
「シーカー事件……?」
「今は表立って報道はされてないけど」
「警察が密かに捜査している事件」
「SNSとか、オカルト系配信者の間では」
「化け物が人を襲ったとか言ってる人がちらほらいるんだけど」
「事件現場に『seeker』と書かれてる札が落ちていたのが発端でそう呼ばれてるみたいね」
「…………」
「それで、今回の十日の事件もシーカーが引き起こしたものじゃないかって言われてるらしいの」
「遺体に噛みつかれてるような痕があるってね」
「現時点で不明なのは、その遺体のそばにヴィルトゥス社が制作した車型の玩具が落ちていたってこと」
「確かにケモノモチーフの車のデザインをしているけど」
「これが嚙みついたなんてありえないでしょ?」
「俺もそう思う……」
「……うーん……」
「御前さん、俺現場に向かってみていい?」
「ちょうど頼もうと思ってたところ」
「これは誰に依頼されたものでもないけど」
「贔屓にしてくれてた客を一人失ったもの」
「彼の無念は晴らしてあげたいしね」
「うん。じゃあ行ってきます!」
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