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※注意※当作品に含まれる成分表。暴力/流血/倫理観の欠如/人外化/年齢が非常に若い刑事などのファンタジー設定
一次創作 2025.9.11 No.33
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身体を揺らされる感覚に目を覚ます。
鈴鹿 柊一が目覚めたそこは刑事部のオフィスであり、既に同僚たちは各々仕事をするために出払っていた。
柊一の顔を覗き込むようにして、目の細い男が言う。
ぼんやりとした頭で考える。
この関西弁の男は、つい先日我が課に配属された新人刑事、敷織 瑞希だ。
まだ配属されて3日しか経っていないというのに、既に柊一が家に帰らない男として認定されているようだ。
3日前。
瑞稀が配属されたと同日に、同僚である松岡 十日が殉職した。
死ぬ直前の通信は、悠長な会話など許されず、一方的な十日の連絡で終わった。
警視庁刑事部シーカー捜査係。通称C課。
表立っての公表はされていない、秘密裏に動いている捜査班だ。
表向きには捜査一課の刑事を名乗っている。
シーカー、現時点では解剖結果により「人造兵器」として危険視されており、近頃はシーカーが引き起こした事件も増えつつある。
市民の混乱を防ぐためまだ報道はされていないが、動画サイトの配信者やSNSはチラホラと「化け物が人を襲っている」という話がささやかれている。
警察組織でもシーカーについてわかっていないことが多い。人型をした形態もあれば、無機物が一人でに動き、その内部からシーカーの反応を起こしたことも確認されている。
なにかしらに憑依するタイプのものなのか。十日が遺したであろう映像も破損しており情報が少ない。
しかし、迷うこともない。今の柊一にできることは、仲間の無念を晴らすことだけだ。
瑞稀は元気よく部屋から出て行く。
それを見届けた柊一は、一旦伸びをしてから荷物をまとめ、オフィスを出た。
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