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Re;dREgina 前日譚:鈴鹿 柊一

#Re;dREgina

※注意※
当作品に含まれる成分表。
暴力/流血/倫理観の欠如/人外化/年齢が非常に若い刑事などのファンタジー設定


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toka「柊一、ごめん」
toka「これが最後の連絡になりそうだ」



toka「今度予約してた飲み屋、キャンセルしといて」







☆☆☆







mizuki「……さん」
mizuki「柊一さん!」





身体を揺らされる感覚に目を覚ます。

鈴鹿(すずか) 柊一(しゅういち)が目覚めたそこは刑事部のオフィスであり、既に同僚たちは各々仕事をするために出払っていた。

柊一の顔を覗き込むようにして、目の細い男が言う。

mizuki「いつまで寝とるんや!もう朝やで~!?」
mizuki「ま~た徹夜で作業しての寝落ちなんやろ!」
mizuki「身体に悪いでホンマ!」

ぼんやりとした頭で考える。

この関西弁の男は、つい先日我が課に配属された新人刑事、敷織(しきおり) 瑞希(みずき)だ。
まだ配属されて3日しか経っていないというのに、既に柊一が家に帰らない男として認定されているようだ。

syuichi「(3日か……)」

3日前。

瑞稀が配属されたと同日に、同僚である松岡(まつおか) 十日(とーか)が殉職した。
死ぬ直前の通信は、悠長な会話など許されず、一方的な十日の連絡で終わった。



警視庁刑事部シーカー捜査係。通称C課。
表立っての公表はされていない、秘密裏に動いている捜査班だ。
表向きには捜査一課の刑事を名乗っている。



シーカー、現時点では解剖結果により「人造兵器」として危険視されており、近頃はシーカーが引き起こした事件も増えつつある。
市民の混乱を防ぐためまだ報道はされていないが、動画サイトの配信者やSNSはチラホラと「化け物が人を襲っている」という話がささやかれている。

警察組織でもシーカーについてわかっていないことが多い。人型をした形態もあれば、無機物が一人でに動き、その内部からシーカーの反応を起こしたことも確認されている。
なにかしらに憑依するタイプのものなのか。十日が遺したであろう映像も破損しており情報が少ない。



しかし、迷うこともない。今の柊一にできることは、仲間の無念を晴らすことだけだ。



mizuki「柊一さ~ん!?聞いてはります~!?」




syuichi「……ん?」
syuichi「ああ、なに?」
mizuki「また魂抜けたみたいな顔してたで!」
mizuki「まあええわ」

mizuki「松岡警部の私物が事件現場のちょっと離れた距離に落ちとってん」
mizuki「もしかしたらその周囲にシーカーの拠点があるかもしれへんし、ボクはまた探ってきます」
syuichi「気ィ抜いて十日みたいにはなるなよ」


mizuki「……それ、ツッコんでええのかわからんわ」
mizuki「柊一さんはどないすんの?」
mizuki「あんま仕事詰めすぎて倒れられても困るし、休んでてもええけど」
syuichi「今が一番忙しいのに休めるかよ」


syuichi「もう一度事件現場に行ってみる」
syuichi「まだ人もそこまで寄り付いてないだろうし」
syuichi「早めに行って疑問は解消しておかないと」
mizuki「りょーかい」
mizuki「ほな互いに達者で!」

瑞稀は元気よく部屋から出て行く。
それを見届けた柊一は、一旦伸びをしてから荷物をまとめ、オフィスを出た。


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一次創作

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