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2025.12.25 No.54
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人間のサイボーグ化、発達した人工知能、巨大複合企業による都市支配が進行している。
インターネット上では、政治や国の未来を憂う論争が日々行われているが、日常を謳歌している人間が存在しているのもまた事実……。
そんな中、近頃C.onでは不可解な連続殺人事件が発生していた。
被害者は四肢を固定され、美しく着飾られ壁に飾られている。
誰が言い出したか、それは「標本事件」と称され、今世間を賑わせているのだ。
更には世間で大流行のゲーム「Collection」のほうでも奇妙な事件が浮上していた……。
「さ~てと、どっから調査したモンかねえ……」
Collection内で最も栄えている街でブラブラと歩いている曰。
そこは直近で追加されたばかりの街だったが、イベント中ということもあり集っているプレイヤーは多い。
周囲には店で新商品を買う者、NPCのクエストを受けストーリーを進めている者など多種多様にいる。
曰はプレイヤーが創設したギルド、「金糸雀」へと向かう。
そこは中華系の装飾が施された、洒落た雰囲気の店だ。
ギルドリーダーは曰に気付くと、やあと片手を上げて歩いてくる。
「おれの店に来るなんてめずらしいね~!」
「どうしたの、なんか用事?」
「久しぶり~、いやちょっと気になることがあって」
「最近Collectionで変わったこととかない?」
「Collectionイチの情報通だ、他のヤツらには気づかないなにかを握ってるんじゃないかな~って」
「買い被りすぎだよ~」
「変わったことかあ」
「現実で事件に巻き込まれた人たちのCollectionのアカウントが妙な挙動をしているってこととか?」
「でもこれは大体広まってるよね」
「そうだな」
「でももちろんこれだけじゃないよ」
「えっ、どんなのどんなの」
「知りたい~?」
「知りた~い」
「じゃあ、そうだなあ」
「終点のえっちゃん、今使ってない武器とかないの~?魔術師系でさ~」
「戦闘狂のえっちゃんなら、テキトーに狩ったマモノからゲットした武器とかあるんでしょ~?」
「え?なんかあるかな~」
「う~ん……」
「おっ、これとかどう?」
「エクリプスの杖」
「軽く言ってるけどそれ今期のイベントボスが落とす武器だからね」
「じゃあそれちょーだい!」
「おう!なんか2個あるし、いいぜ」
「なんで2個もあるの……」
「強すぎて倒せないって運営に文句入れてる人もいるのにさ……」
「まあいいや、情報ね」
「今リアルで起きてる標本事件、それと似たようものがCollectionでも起こってるんだよねえ」
「プレイヤーがいなくなって、ガワだけが取り残されたキャラクターが標本みたいにされて……」
「この広大なワールドのあちこちに飾られてるらしい」
「ちなみにこれはプレイヤーの中ではまだ広まってなくて」
「運営会社内で発見されて、それを取り除こうと今は該当のエリア内には入れないよ」
「……明らかにリアルと関連付けにきてるな」
「なんとかエリア内に入りたいんだけどなあ」
「さすがにそれは難しいかも~」
「おれも見てやろうと思ったんだけどさ、エリア内に変なマークが出てて、それで入れないってゆーか」
「変なマーク?」
「そう、目玉みたいなマーク」
「黒い目の瞳孔だけが赤い、みたいな気味の悪いマークなんだけどさ」
「ほら、被害者のアカウント情報にも真ん中にででんと置かれてたやつ」
「ああ!アレか」
「……一応付近に出向いてみるよ、情報ありがと」
「深淵を覗くとき、深淵もまたなんとかって言うでしょ」
「あまり覗き込みすぎないでね」
☆☆☆
「噂のエリアに来てみたが……」
「確かに、例のマークが表示されて先に進めねえな」
『なんとかゲートを突破できるなにかがあればいいんですが……』
『あっ!』
『垣灰谷さんに頼んでみるのはどうでしょうか?』
「カキバヤ?」
『最近復帰したサイバーセキュリティ対策本部の人ですよ』
『彼女であれば、ハッキング力で突破できるかもしれません』
「おお~、なるほど」
「んじゃその人に頼んでみるとすっか……」
瞬間、ゲーム内部からリアルの肉体にまで浸食するような悪寒が曰に訪れる。
冷や汗が垂れるその前に、曰は武器を抜いて襲い来るであろう衝撃派に身構えた。
――そして目の前に散る火花。
チカチカと散って消えていく光、その眼前にあるのは大剣だ。
「…………」
目の前の男は狼のような眼差しで曰を見ている。
「ご挨拶だな……!PVPは闘技場に行かないと発生しないはずだけど?」
「……犯人は現場に戻る、と言うが」
「貴様がこの事件の犯人か?」
「はあ!?」
男は言葉に形容し難い呪文のようなものを呟く。
攻撃範囲が曰の真下にマークされ、曰は咄嗟に剣を弾いて後ろへ下がる。
「なにを勘違いしてるか知らねーが!」
「俺はむしろ捜査してる側だ!犯人を捜してんの!」
「貴様の“中にいるモノ”が邪魔だ」
「悪いが分離させてもらうぞ」
「はっ、え、な――……っ!」
男の大剣が曰を切り裂く瞬間、脳裏に浮かんだのは、
『こいつ、確かCollectionに出てくるNPC……』
『ライカンだ』
☆☆☆
「いでっ!!!!」
「うわっ!?せ、先輩大丈夫ですか!?」
気付くと、自分はゲームを強制ログアウトさせられていた。
目の前にはいつも通りの現実世界、譲葉は心配そうに、椅子から転げ落ちた焉を覗き込んでいる。
慌ててゲーム画面を見る、するとそこには――
「な、なんで俺のアカウントにまで……」
#Collection
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